退院後、親の外出をどう支援する?介護タクシーとリハビリを組み合わせた新しい選択肢

「退院はできたけど、通院はどうすればいいんだろう」

骨折や脳卒中、手術後のリハビリを終えて自宅に戻った高齢の親を持つ家族が、最初にぶつかる壁のひとつが「外出の手段」です。

車いすを使うようになった。歩行器がないと移動できない。タクシーに乗り込むだけでも一苦労——そんな状況になったとき、「普通のタクシーでは難しい」と気づく家族は少なくありません。

この記事では、介護タクシーとリハビリを組み合わせた外出支援の実態を、私自身が個人事業主として介護タクシーと自費高齢者支援を運営する中で経験してきた事例をもとにお伝えします。開業を考えている医療・介護の専門職の方にも、「こういう仕事なんだ」という具体的なイメージを持っていただけると思います。

目次

介護タクシーの「日常」──こんな場面で使われています

介護タクシー(※福祉車両を使った旅客自動車運送事業のこと。車いすやストレッチャーのまま乗車できる車両を使い、介護の資格を持つドライバーが乗降介助を行う)の仕事は、特別なイベントのためだけにあるわけではありません。

日々の業務でよくあるのは、こんな場面です。

  • 整形外科や内科への定期通院
  • デイサービスや訪問リハビリ施設への送迎
  • 入院中の家族への面会
  • 銀行や役所など、生活に必要な外出

「車いすに乗っているから外に出られない」ではなく、「車いすのまま乗れる車があれば、外出できる」——その橋渡しをするのが介護タクシーの仕事です。

退院直後は特に、通院の頻度が高い時期です。週に1〜2回のリハビリ通院が数ヶ月続くことも珍しくありません。家族が毎回付き添うのが難しい場合、介護タクシーが定期的な「足」として機能することになります。

「リハビリ」と「外出支援」を一緒に考える、という発想

ここで少し視点を変えて考えてみてください。

理学療法士(PT)や作業療法士(OT)として病院や施設でリハビリを担当してきた方にとって、「移動する」という行為そのものがリハビリになり得る、というのは当然の感覚かもしれません。

でも、退院後の在宅生活では、その視点が抜けてしまうことがよくあります。

外出の機会が減る→体を動かさなくなる→筋力が落ちる→さらに外出が難しくなる——このサイクルに入ってしまう高齢者は非常に多い。

介護タクシーの事業者が、ただの「送迎屋」ではなく、リハビリの視点を持った専門職として関わるとしたら、どうでしょう。

乗降の際に「どこを持つと立ちやすいか」を一緒に確認する。車内での姿勢を整える。目的地まで安全に移動しながら、「今日は自分でドアを開けてみましょうか」と小さな挑戦を促す。

これは、医療・介護の専門職だからこそできる外出支援のかたちです。同じ移動でも、その質がまったく違ってくる。そういう仕事の可能性が、介護タクシーと自費高齢者支援の組み合わせにはあります。

忘れられない、ある利用者さんのこと

少し前の話になりますが、脳梗塞(※脳の血管が詰まることで起こる病気。麻痺や言語障害などが後遺症として残ることが多い)の後遺症で左半身に麻痺が残ったAさん(70代・男性)の送迎を担当していたことがあります。

退院直後のAさんは、車いすを使いながらも「また自分で歩きたい」という強い気持ちを持っていました。リハビリ病院での入院期間を終えて自宅に戻ったものの、外出の機会はほぼゼロ。家の中でじっとしている日々が続いていました。

最初の送迎の日、Aさんはずっと無言でした。「迷惑をかけているんじゃないか」という気持ちが、表情ににじみ出ているようでした。

帰りの車の中、Aさんがぽつりと言いました。「久しぶりに外の空気を吸えた気がする。病院の往復だけなのに、なんかすっきりした」

それまで硬かった表情が、少しほぐれていました。

その後、Aさんは「次はカフェに寄ってみたい」と話すようになりました。通院の帰りにカフェを寄り道をし、コーヒーを飲む。

ただそれだけのことが、Aさんにとって大きな変化のきっかけになりました。

家族からも「最近、表情が明るくなった」と言ってもらえるようになって、私自身も改めて「外出そのものが持つ力」を実感しました。

病院でのリハビリが終わった後にも、こういう関わり方ができる。それが、この仕事の本当の価値だと思っています。

もちろん送迎だけの利用でも大丈夫

ここまで色々とお話ししましたが、もちろん送迎だけのご利用も大歓迎です。ねっと岩国(私の営業所)ではお客様が安心してお出かけができるよう理学療法士が丁寧に外出をサポートします。

そして外出の楽しさを感じていただき、いつか「もっと○○してみたい」「○○にも行ってみたい」といきいきとした表情でお話ししてくれる機会を楽しみにしています。

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